M82

◎ちかさん(@quit111until)「M82」環壮

 歌うことを自らに許して、生まれて初めて呼吸をしたような気がする。歌は生きるためにこそ存在すると信じたいけど、生きることは死にゆくことと同義でもあると、始めからずっと知ってる。
「そーちゃん、今日調子いーな」
「うん。楽しくって」
 相方からの花マルをもらって、汗を拭うのもそこそこにステージへ飛び出す。息ができなくなりそうなくらい歌うこと、手足が千切れそうになるくらい踊ること、泣き出しそうになるくらい笑うこと、怖くなるくらい何かを好きだと思うこと。取った手の火照り、姿がライトに霞む切なさ、舞台袖での一瞬のキス。きちんと教わることはできなかったけれど、あの人は知っていただろうか。幸せを明かすと誓いながら、本当のところは僕にも分からない。だからひた叫ぶ。
「そーちゃん、アンコール!」
「うん、行こう!」
 届け、あなたへ――歌っている僕が幸せだということ。そのためなら何度だって命を削る。

……「M82」M81の接近で壊滅的なダメージを受け、秒速1000kmで多数の星が噴出している。紫色に見えるのは星間ガス。既に500万個ほどの星が失われたといわれている