足して割って半分の温度

 お風呂上がり〝ほこほこ〟のそーちゃんを、出待ちして捕まえた。
「お手入れ終わった?」
「リップケアをしたら終わりだよ」
「じゃー終わったら俺の部屋……あーいいや、俺がそーちゃんの部屋ついてく」
「いいけど……?」
 ぺたぺた、俺は裸足で歩く。そーちゃんは、俺が五足セットで寄越したモコモコの靴下を履いてる。あったかそうなのに、もう冷え始めてるのを知ってる。そーちゃんだって、冷えたくて冷えてるわけじゃないから、ケチはつけない。
 そーちゃんがぴかぴかになるまで、ベッドで待機。俺はもう寝るだけ。そーちゃんもそのつもりになったみたいで、机の上の書類をトントンとまとめた。
「お待たせ」
「勝手に待ってただけだもん」
 すぐに横にはならないで、そーちゃんを太ももの間に抱っこする。寝る時は裸足のほうが冷えないらしい。薄っぺらい足から靴下を脱がすと、お風呂で温めてきたはずのつま先が、やっぱりひんやりし始めてる。
「ふふ、気持ちいい」
 そーちゃんの後ろから両手を回して、足湯みたいにつま先をあっためてやる。寒い日の夜の恒例行事。最初は恥ずかしがっていたそーちゃんも、今はうっとり身体を委ねる。
「そーちゃん、今日は頑張ったもんな」
「何か変わったことしてたかな?」
「雨だったから。寒かったろ」
「あはは。環くん、僕に甘すぎるね」
 いーの。甘くても、くだらなくても、甘やかしたいの。どんなに小さなことだって、そーちゃんをちくちく攻撃するものがあるなら、跳ね飛ばしてやりたいの。
 どんなに守ったって、そーちゃんは弱くなったりしない。もっと強くなって、俺の知らない道をどんどん切り開いてく人だから、俺はその背中にくっついて、いつも見ていようって決めたんだよ。
「お仕事はジュンチョーですか」
「うん。まあまあかな」
「眠たくなってきましたか」
「今日はもう少し、お話したいかな?」
 小さな頭が振り向いて、俺にちゅっと口をつける。そーちゃんに分けたはずのあったかさが、胸にほわんと舞い戻ってくる。
「大好き」
「僕も、大好きだよ」
 ずっと僕のそばにいてね。──そんなふうに言ってくれる人に出会える日を、凍えるほど寒い夜の底で、待っていたことがある。
 そーちゃん、大好き。凍えそうな時、俺を思い出せるくらいに何度だって、そーちゃんのことを温めるよ。