どこまでならいい?

 ロケは夜8時ちょっと過ぎまで。解放されて、そのへんをお散歩して、温泉に入り直そうかって話になって。
「はー……きもち」
 くたびれた身体を、湯船いっぱいのお湯にザブンと沈める。温泉がある国に生まれてよかった。 お湯も気持ちいいのだけれど、身体はすすす、とそーちゃんのほうへ。
「そーおちゃん」
「なぁに?」
「ぴと」
 口に出して、背中と背中をくっつけてみる。今日はどこまでならくっついてもいい?
「こっちを向いてほしいな」
「じゃあ、ぎゅっ」
「あ、でも」
「うん?」
「そこは、触らないでね」
 そーちゃんはぎゅっと胸をガードして、じゃぼんとお湯の中に隠れる。そりゃあそーちゃんの胸はキケンだけど、男同士でそんなところも触れられちゃ困るなんて、そーちゃんの身体はデリケートすぎる。
「どこがダメ?」
「ヘンなところはダメ」
「どこがヘンなところ?」
「……ヘンな気分になるところは、ダメ」
 そーちゃんは中途半端に強がって線を引こうとするけれど、本当はそんなの、全部意味ない。まだ「ダメ」じゃないほっぺを両手で包んで、そーちゃんの唇を捕まえる。舌をねじ込んで、歯列をなぞって、顎の裏や舌の裏をくすぐりながら、二人の体液を一つにしていけば──。
「なあ、どこがヘンなところ?」
「やぁ、ん……」
 絡めた指先すら、「ダメ」なところになっちゃうくせに。